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地震の不思議 木造の建物は何年住めるのか?
ダンパーについての考え  



       
地震の不思議(軟らかい地盤は不利ですが)
熊本地震で、不思議な現象を観察しました。

益城町という被害が大きかった町で、山から川にかけて段々と地盤が弱くなり、呼応するように倒壊の被害も大きく観察されました。
ところが間もなく川、と行く途中、ある一角だけほぼ無被害の集落が出てきました。
当然、川のそばと言う事は、砂地が多く、地盤は悪い(地震力がより大きくなる)ということになります。

現地にいる時は、はっきりした答えは出なかったのですが、しばらく経って理由が判明しました。
専門的になりますが、固有周期が関係していました。

地震の揺れには、ガタガタガタ、と言う早い周期があれば、ガッタンガッタン、とかユーーラユーーラ、と言うゆっくりしたもの迄あります。
一般的に1〜2秒の固有周期に木造は弱い(共振する)、と言われており、同じ地震力でもその固有周期によって被害の差が広がります。
逆にRC造は、もっと短い固有周期に共振します。
共振をわかりやすく言いますと、ブランコを押していて、もっとも効率的な押し方がありますね。
逆に小刻みに強く推してもほぼ効果が無い、そんなイメージです。

さて震源から地面を通して力が伝わり、地盤によって地表面の固有周期が変化します。
被害が多い地域では、その地盤との相性が悪く、木造の壊れやすい周期と地震の周期が一致してしまい、揺れがより大きくなる事により生じてしまったのです。

熊本益城町の、より川沿いは、その地盤がさらに悪かったために、地表面の固有周期が1〜2秒より大きくなり、結果として被害が少なくなった、と報告されています。
関東大震災では、下町では木造の被害が多く、逆に山の手では、土蔵造りの様な短い固有周期に弱い建物の倒壊が多かったとのことです(逆に木造被害は少なかった)

東日本大震災の際には練馬でも相当の被害がありました。
特に屋根瓦の崩落被害です。
観察していて不思議だったのは、ある小さなスポット(10件くらい)で被害が集中している地区がいくつかあったのです。
あとで調べると、そこは昔「沼」だったとの事。
このように、地表面での固有周期が被害に大きく関係してきます。

「たまたま」悪い固有周期になるなら、対策をしてもあまり意味がない、と考える方もいるかもしれません。
しかし、例え悪い固有周期の地区に入ってしまった被災地の中にも被害が少ない家屋があることは確かです。
そう言った家屋は、結局より悪い条件でも耐えられる計算で、余裕値を持って建てられているのです。
揺れは大きく長時間続いたようですが、超高層ビルは東日本大震災で耐えて、今だに利用されています。耐震を検討するのと運に任せるのでは大きな違いとなるのです。


木造の建物は何年住めるのか?(築50年の家を改築するのは?)
うちはもう古いから、今更工事をしてももったいない、と言う考えの方にお会いします。

今多くの自治体で耐震改修に助成がされていますが、その条件の一つに、昭和56年以前(1981年以前)の建物、と言う条件があります。
築40年以上の建物に焦点を当てているのです。

この事は、国や専門家が、40年50年の建物がさらに長期間使用できることを認めている証拠となります。
わざわざ、助成金を出して、地震に強い建物にしてください、その後も何年も住んでください、と言っているのです。

柱、梁の構造体に腐朽状態にも左右されますが、元々の耐力に近い状態ならば、構造体としてまだまだ利用することが可能です。
一部が腐朽していても、取り換える事により、耐力を期待できます。

2019年に当社で請け負った、スケルトンリノベーションの施主さんは、ご夫婦共に建築士で、わざわざ築50年以上の木造古家を買取り、それなりの金額をかけて大規模の工事をされました。
この事例も、建築士と言う専門家が、築50年の家屋もまだまだ使用可能、と判断されている事の証です。

欧米には、築80年100年の木造建物が多く存在します。
湿気が少ない事や地震が少ない事など日本の土壌とはまた比較しにくいですが、日本には世界最古の木造建築物もあります。
当時とは材料の違いはありますが、まだまだポテンシャルを感じさせる木造です。
ダンパーについての考え
地震は大きな揺れ一回では終わりません。
余震が前後にあり数年後に又同規模の揺れが来る可能性も否めません。

残念ながら、一度耐震工事をしても、揺れの度に耐力が落ちていくことは事実です。
しかしながら、ダンパーを用いる事により、その耐力低下を抑えることは出来ます。

予算が関係するので、どこまで計画に加えるかは検討が必要ですが、制振と言う側面と、耐力低下を防止する、と言う観点からもっと選択肢が増える事と、リーズナブルな製品が発売されることを期待します。

ヒカリハウジングでは、筋交いに近い考えのダンパーを採用しています。
さらに、ビスが抜けにくいように、合板を貼る際に使用する、制振テープも採用しています。

制振ダンパー

基礎の下に滑る材料をいれて、地震力を建物に伝えにくい仕組みの免震装置も、200万円位で開発されています。